初めてのリーダーアルバムレコーディングを終えて

レコーディング2日後に作成した記事を公開するのを忘れていたので、

今更になって公開します・・・!


7/10、私がリーダーをつとめるジプシージャズバンド、Bistro Manoucheのレコーディングをしました!
忘れないうちに、その日の話、それまでの準備で何をしたか、今までの経験でやって良かったこと、メンバー間で話したことなどを記載したいと思います😌


準備期間

レコーディングをしたいなどと口にし始めたのはおそらく1年半前くらいだったと思います。

2023年末になり、来年春くらいにレコーディングをしたい、する、と話し、どんな曲を入れるか、どんなサイズにしたいかをメンバーの大暉さんに相談し始めました。

なかなか今年は海外に行きたい、別件でレコーディングがあってそこでの経験をしてからが良い、などと言ってなかなか腰が上がらなかったため、大暉さんの紹介でサウンドエンジニアの藤田さんに連絡を取ったのは2024年4月でした。

日取りを決め、予算を出して頂き、レコーディングのスタイル(同室内での同時録音)を決定しました。

メンバーとは曲の話し合い、コンセプトの共有、構成、アレンジなどを話し合い、ヘブンアーティスト活動、ライブ、イベント演奏の合間や打ち合わせを何度も行い、実際スタジオでデモ録音、リハ、練習を行いました。

坪内個人としては春くらいからコンセプト、イメージをしっかり固めることを意識しました。
選曲も自分がやりたいイメージ:暖かな春、始まり、美しく温かい音、陽気な朝 が反映されること、
レジェンドたちへの愛が溢れること
大暉さんのリードギター、ニコラさんのリズムギターの素晴らしさがしっかりと伝わること、を念頭に置き選びました。

レコーディング1週間前にフランスから帰国した時は世界のレベルの高さにおののき、若干ネガティブモードだったのですが、帰国してから2日に1回くらいの頻度でリハ、屋外演奏、リハという形でメンバーと会い、他の日本にいるプレイヤーともセッションして励まされ、自分にしかできない音楽をやろうという想いにいたり、自分のマインドも良い具合に上げて(上がって)レコーディングの日を迎えることができました。

選曲した曲は難曲とは言わないのでしょうが、
同時録音、完全アドリブという坪内にとっては難しい挑戦であり、
曲の分析(ここに転調がある、メロディーとしての盛り上がりがここにある、ここに盛り上がりを持たせよう、こんなイメージでアドリブを取ろう、というような)をしっかりと行いました。

アドリブだけでなく、メロディーの弾き方、エンディングの方向性(アレンジだけでなく、エンディングフレーズも試行錯誤)もしっかり考えました。


レコーディング当日

前日は早めに就寝、朝早く起きて、一度サイレントバイオリンと本番で使用する弓を使って指を動かしてからスタジオへ。

最寄駅でメンバーと集合、タクシーを呼んでみんなでスタジオ入り。

1時間程度でマイクのセッティングをしてもらいながら音出し。最終確認。

5曲、途中休憩を挟みながらも、8時間にわたりレコーディングを行いました。

個人的な感想としては、今まで行ってもらったどのレコーディングよりもスムーズ、みんなのサウンドが好み、弓が現にすれる音、ピックが弦に当たる音、左手が弦に触れる音、雑音も含めて全てが美しく、温かく、時に熱い。

今まで何度かレコーディングの経験はあるものの、ジプシージャズは初めて。ましてや同時録音。

自分のミスで全員に迷惑をかける。

だけど、どうしても生きた音楽をやりたい、準備した書き譜ではなく、完全アドリブを。
後から上から重ねる、修正するという方法は取りたくないという考え。
(ただこの考えはメンバーとも一致)

何よりサウンドエンジニアの藤田さんが本当に素晴らしく、セッティングはスムーズ、自分が気になる部分を発言すると、すぐに調整してくれました。
同室内での同時録音に関しては「パッションがある」と言ってくださったり、ジプシージャズ、ギターに対しての理解があったり、とても気持ちよくレコーディングができました。

そして何より嬉しかったのは、大暉さんもニコラさんも、想像以上に良いレコーディングになった、たくさん勉強になったと言ってくれて、初めから終わりまでたくさん意見を出してくれたり、2人とも真剣に取り組んでくれました。

個人的には、学びの側面もあるけど、
8時間の間、かなり高い集中力を維持し良いパフォーマンスができたし、
今までの反省を活かして、こうやれば良いのかなという方法が少しずつ確立していて、それが確証に変わってきたという感覚が近く、かすかに自分の成長を感じました。



今までの経験で何が効果あったのか

これまでのレコーディング経験は主に下記
・サポートバンド(フォークロックバンドThe VISION, アントニオバンドなど)でのレコーディング数回
・オンラインでのコラボ(ジプシージャズアーティストJose、Raulとのコラボ、宅録)数回

その他学びとなった経験
・インスタにあげている弾いてみた動画
・北床宗太郎さんのレッスン中に撮影して頂いた動画、およびレッスンで教えてもらったこと

まず去年ごろ北床さんのレッスン中にリーダーバンドでのレコーディングをしたいと思っていると伝えました。
「まだ早いんじゃない?」と言われるかと思いきや、北床さんのアルバムを作った時のノートを見せてくださいました。
1曲1ページ、どんなイントロにするか、イメージ、構成などがメモされていて、自分も同じものを作ろうと決めました。

それから、北床さんがソフトでバッキングトラックを作ってくれて、私がアドリブも含めて1曲演奏する、というトライをさせてもらいました。

今思うとなんの準備もしていない状態で、ご自宅にいきレコーディング、共演者がいないという状況のなか、自分を奮い立たせて、良い演奏をすることの難しさ、準備の大切さを学びました。

そして、そういうトライこそがレコーディングへの第一歩となると教わりました。その日はただ難しいとだけ思ったけど、今思うと、本当に良いことを教えて頂いたと思います。

そして、オンラインのレコーディング。
こういうのは、コラボしてくれるミュージシャンが先にバッキングと歌などを収録して送ってくれるので、実はわたしは自宅で30テイクくらいしていて、特にダメというわけではないけど、もっと良いのが撮りたいな、とか言ってるとどんどん変になっていく、ということを知っていました。

可能な限り少ないテイクで良いパフォーマンスをすることがいかに大事か。

また、サポートバンドなどでは、どのあたりでどの音を使うのか、あらかじめ譜面を準備し、当日のアドリブをしないようにして1、2テイクで仕上げるという準備をしてました。
つまり、レコーディングを行うにあたり、準備が1番大事なのだと。
そしてどんな準備をするのかということを、上記の経験を経て学びました。

Bistro Manoucheは2023年からヘブンアーティストとして活動しており、それ以外にもイベント演奏、自主企画でのライブ、メンバー各々でセッションへの参加などを経て何度も一緒に演奏してきました。

私がフランスから帰国し、代々木公園でBistro Manoucheメンバーと打ち合わせをしていた時、
「本番ジプシーの人たちは生まれた時からレジェンドと一緒にいて、ジプシーの言語を話し、息を吸うように音楽をしてきたという文化がある、だけど私はジプシージャズと出会ったのも遅いし日本で同じように音楽と向き合うことはできないのではないか」と若干落ち込みながらメンバーに話したところ、

ニコラさんは「日本でもこうして一緒にセッションしている、一緒に生活していなかったとしても、これはすでに文化なのでは?」と言ってくれて、私はその言葉に大変励まされたし、今までやってきたことは間違ってなかったんだなと思いました。

ニコラさんはたまにリズムギターのやり方を教えてくれるし、大暉さんはたくさんジプシージャズのフレーズが溢れていて、私もたまに真似して遊んだりします。そのほかにも2人からは日頃からいろんなことを教えてもらってます。

Bistro Manoucheにはすでにそんな文化がしっかりと根付いているようです。

一緒に暮らしているわけではないけど、家族のようなメンバーとのレコーディング、ジプシージャズ、音楽へ愛がたくさん溢れています。


発売は10月ごろの見込みです。

※2024年10/10に発売開始しました!!

5曲入り2,000円(税込)

皆様ぜひお手に取って聴いてもらえたら嬉しいです。


こちらからオンラインで購入可能


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